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デジタルマーケティング 2017.07.20 従業員アドボカシーはBtoB企業にとって不可欠です

デジタルコミュニケーションのプロとして世界を駆ける ニール・シェーファーさんに、BtoBマーケティングの現状や、デジタルマーケティングのコツなどを日本の事情を踏まえて教えていただくコーナー。

第5回目は、従業員アドボカシーはBtoB企業にとって不可欠です です。

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ソーシャルメディアの時代に登場したトレンドの1つは、従業員アドボカシー(Employee Advocacy)です。このコンセプトは過去2〜3年で大きな「バズワード(流行語)」になっています。いまも減速してはいないようです。従業員アドボカシーはまったく新しいものではありませんが、BtoB企業がその有効性を理解するにつれて、信頼できるネットワークからリードを獲得したり、ブランド認知を高められるものである、としてその重要性が高まっています。

マーケティング活動に社員の声を利用し始めるには、いまがとてもいいタイミングです。従業員アドボカシーは、かつてオンラインマーケティングとソーシャルメディアの世界で企業を差別化する革新的な方法と呼ばれていました。今では、BtoBソーシャルメディアのマーケティングやソーシャルセールス(法人営業がソーシャルメディア上で購入者とエンゲージすること)に与える影響が大きく、必要なものであるとほぼ考えられています。誰もがブランドの声に焦点を当てていますが、従業員アドボカシーは強力な戦略の1つです。従業員アドボカシーを採用していない多くの人は、ソーシャルネットワークでの従業員の力と影響を見落としていることになるでしょう。

この記事では、従業員アドボカシーとは何か、BtoB企業にとっての重要性、従業員アドボカシープログラムの実施方法、全体的なマーケティング戦略をどう改善するのかについてご紹介します。


【従業員アドボカシーとは何か?】

従業員アドボカシーは、企業がソーシャルメディアのさまざまなプラットフォームを使用してブランドアンバサダーになるために、従業員を活用する戦略的構想です。この戦略では、ソーシャルネットワーク内での従業員自身の影響力を活用し、従業員が会社からのコンテンツやメッセージをシェアするなど、企業の情熱的な支持者として行動します。この活動により、各個人のソーシャルネットワークからフォロワーを獲得し、信頼を獲得し、リーチを拡大し、新しいビジネスを確立することができます。

従業員アドボカシーのコンセプトは、社内の文化に根ざしており、成功するためには最上位の経営陣の全面的な支援を含め、企業全体で取り組む必要があります。従業員は、会社のビジョン、使命、目標について教育を受ける必要があり、組織の文化や信念を理解している必要があります。さらに、従業員はプロフェッショナルな視点と、従業員代表としてソーシャルメディアを活用するための訓練を受ける必要もあります。

従業員アドボカシーが注目されるようになってきたここ数年の間に、いくつかの出来事や傾向がありました。以下の出来事は従業員アドボカシーが注目されるきっかけとなりました。

•ソーシャルメディアは、マーケティング機能として活用されていたものが企業規模の活動へと進化し、ソーシャルビジネスへと移行している。

•従業員自身がさまざまなソーシャルメディアネットワークのアクティブユーザーになっている。

•ソーシャルセールスプログラムは劇的に成長しており、営業社員の個人的なブランド化を支援するためにコンテンツを継続的に制作する必要がでてきた。

•コンテンツマーケティングの成長と「従業員メディア」というコンセプトの導入。(従業員メディアとは、従業員アドボカシーにより従業員たち自身がコンテンツを投稿するメディアとなることを指す。新しい言葉)

•ソーシャルメディアを活用して収益を増やす方法を継続的に模索すること。

従業員アドボカシーは、従業員への投資です。あなたは、プログラムの目的と手段に沿うように、従業員を訓練し、教育する必要があります。それは簡単で安いものではありませんが、従業員アドボカシーを実践することで得られるメリットは、他のマーケティング活動の恩恵を超えています。


【BtoB企業の従業員アドボカシーのメリット】

他のマーケティング構想からはめったに達成できない、従業員アドボカシーがBtoB企業に提供できる2つのユニークなメリットがあります。「信用」と「自然リーチ」です。

●信用

従業員は、従来のブランディングでは到達できないレベルの信用を生み出すことができます。ほとんどの人は、ブランドの広告よりも、知り合いからのおすすめを信用する、ということを覚えておいてください。
別の観点から言えば、貴社の経営陣から、関連コンテンツを知り合いに提供することやとシェアすることを任されると、従業員たちは鼓舞され、やる気になるでしょう。あなたが組織内でより信頼されるようにもなります。

●自然リーチ

より多くの従業員がブランドメッセージをシェアすると、指数関数的な意味でより多くのユーザーにアプローチできます。 100人の従業員のそれぞれに100人の友人やフォロワーがいて、あなたのメッセージをシェアすることに同意すると、あなたの投稿は10,000人に到達するかもしれません。従業員の5%しかメッセージをシェアしない場合でも、ブランドアカウントを登録していないと思われる、信頼できる人たち500人にも到達しているのです。これは、従業員のネットワークはブランドのフォロワーとほとんど一致していない、ということを示しています。

始める準備ができたら、BtoBビジネスにおいて、どのように従業員アドボカシープログラムを作成したらよいかを次でご紹介します。


【従業員のアドボカシー戦略の定義】

他のマーケティングプログラムと同様に、ビジネスの目標を定義することから始める必要があります。誰にリーチしようとしているか?何を達成しようとしているか?ブランド認知を高めようとしているのか?新規リード獲得?顧客関係の深耕?業界のインフルエンサーはいる?これらすべて?

従業員アドボカシープログラムの目標をマーケティング全体および企業全体のKPIに結びつける必要があります。企業ごとにそれぞれですが、ROI測定のサンプル基準と同じように、プログラムを立ち上げるための最も一般的な目標は次のとおりです。

 ブランド認知:ソーシャルメディアのリーチ、ウェブサイトのトラフィック、検索ボリューム
 リード生成 :リード量、コンバージョン率
 人材管理  :採用コスト、雇用までにかかる時間、従業員の定着

目標が定義されたら、ターゲットとする特定のソーシャルネットワーキングサイトを決定する必要があります。従業員アドボカシープログラムは、従業員、顧客、および見込み客がいるプラットフォームに焦点を当てると最も効果的です。


【使用する完璧なソーシャルメディアプラットフォームの特定】

LinkedIn(日本以外)、Twitter、Facebookのような巨大ソーシャルメディアは、ソーシャルメディアの支持者が活用する優れたプラットフォームです。これらのプラットフォームは、以下の目的を達成するために使用されます。

•説得力のあるソーシャルプロファイルを通じて、見込み客と信頼性とプロフェッショナリズムを確立する。

•従業員が業界の見込み顧客、顧客、チャネルパートナー、およびソートリーダー(その業界や分野に関して、最もエキスパートであり、将来の動向がいち早くわかっている会社や人)の最新情報を入手できる、適切なネットワークを構築する。

•顧客や見込み客の意見を聞き、ニーズ、優先順位、興味のあるトピックを特定する。

•注目を集め、インバウンドの機会を引きよせるソートリーダーシップを促進する。

•ソーシャルシグナル(シェアやいいねなど、ソーシャルメディア上である人に対して起こすエンゲージメントによって、通知されること。SNS上のコミュニケーションを間接的に取る手法。)とターゲティング基準に基づきリードの見通しを立てる。

•競合他社のポジショニング、人事、製品、価格の変化を注意深く監視する。

ソーシャルアドボカシープログラムに使用したほうがよいソーシャルメディアチャンネルは、まず貴社の従業員がすでに活躍しているソーシャルネットワーク次第でしょう。さらに、これを一次フィルタとして使用して、どのソーシャルネットワークにターゲットオーディエンスが含まれているのか、検討するのです。 

従業員アドボカシープログラムのつくり方を知っているだけでは、ダメですよね。プロセスのあらゆる側面がどのように機能しているかを理解することがとても大切です。従業員アドボカシープログラムを構築する上で重要なベストプラクティスは次のとおりです。

●目標設定のために全員参加すること

ソーシャルメディアやビジネスは、目標設定から始まります。従業員アドボカシーについても同様です。目標は慎重に作られなければならず、全体的なマーケティング戦略と結びついていなければなりません。 SMART(具体的、測定可能、達成可能、現実的、時間限定)な目標を策定しましょう。

社内コミュニケーションとHR(ニューマンリソース)も含めた従業員アドボカシーの初期計画には、組織のステークホルダーも含めて考えることが重要です。彼らがプログラムの採用に従順であるならば、組織の残りの部分と話し合いましょう。この活動は組織全体を対象としており、誰もが参加していなければなりません。

リーダーシップチームは、あらゆる努力を最大限に活かすために、ソーシャルメディアにコンテンツを拡散するプロセスを通じて従業員を先導するだけでなく、従業員の貢献が企業に利益をもたらし、否定的な意見を抱かないようにしなければなりません。エグゼクティブチームは、従業員アドボカシープログラムが社内で浸透し、成功する可能性を高めるために、プログラムをサポートするだけでなく自ら参加し、手本となって指導することを強くお勧めします。

●多様なコンテンツ戦略を作成する

コンテンツ戦略は、従業員アドボカシープログラムの中心になります。従業員と一緒に、組織独自の目標に役立つコンテンツを作成しましょう。従業員をメンバーとして直接起用して、独自の視点からコンテンツを作成することができます。

従業員アドボカシーのための最良のコンテンツは、次のようなものです。

•ターゲットオーディエンスに価値をもたらすもの

•貴社の価値観とすべての目標をサポートするもの

•従業員がネットワーク内の友人や家族とシェアできるようなもの

推奨基準に従えば、従業員はいい感じで自分の個人的なブランドを育成し、貴社のブランドや会社に対する感情的な愛着と忠誠心を高めます。

従業員の多様性に応じて、コンテンツ戦略を複数のコンセプトとフェーズに分割することもできます。貴社の優位性として多様性を活用しましょう。(読者も、ある意味で多様なものになると考えておくこと。)従業員と読者の両方に響くコンテンツを作成しましょう。

適切なコンテンツは、従業員を業界のソートリーダーにすることもできます。これはソーシャルセールスにおいて非常に重要です。コンテンツは、必ずしもオリジナルで社内制作である必要はありません。インフルエンサーのコンテンツを管理し、それぞれの著者への親しみやバックリンクを追加することもできます。

●アナリティクスとKPIによる成功の理解

計画段階の始めに設定されたアナリティクスとKPIによって、戦略が成功したかどうかがわかります。だから目標は測定可能であるべきなのです。結果が出て、ROIを測定し、それからステークホルダーに報告して、PDCAカイゼン方式で従業員アドボカシープログラムの効果をさらに向上させる方法についてのインサイトを発見するでしょう。


【従業員アドボカシーの事例】

多くの企業が従業員アドボカシーに苦しんでいますが、他社はどのようにして成功したのでしょうか。成功事例として魅力的なストーリーを紹介します。ひとつはCitrix社の事例です。同社は Go2MeetingとGo2Webinarというバーチャル会議とウェビナーのソリューションを提供しています。主な取り組みは次のとおりです。

Citrix社は従業員アドボカシープログラムを従業員エンゲージメントの一環として開始しました。ウェビナーを主催する主要プラットフォームのプロバイダとして、同社はすでにコンテンツマーケティング戦略の一環として、多くの面白いウェビナーを後援していました。多くの従業員がこれらのウェビナーに関する情報をシェアし始めた一方、他の人はソーシャルメディアで何がシェアできるのか、できないのかを雇用主に尋ねていました。これは、従業員が安心してシェアできる、企業が承認したコンテンツの「情報センター」を構築するためのインスピレーションとなりました。さらに、従業員がソーシャルネットワークで簡単にシェアできる企業向けのツールを導入しました。

2013年の春に、従業員アドボカシープログラムに従事する従業員はわずか0.05%、というところから始まりました。当初、週5〜10件のコンテンツがeメールで配信され、従業員はシェアするよう奨励されたのです。

彼らがツールに移行したとき、フォロワーは前月に比べて4倍に成長しました。それ以来、全社的な取り組みとなりました。現在、世界中のCitrixの従業員の10%以上が、積極的に自社のソーシャルメディアを支持しています。

以下、2016年1月1日から2016年8月22日までのCitrixの結果です。

•参加者の合計:1005(398 web app / 607 email)
•合計シェア:62K
•エンゲージメント:30K(ウェブアプリユーザーのみ追跡)
•シェアコンテンツのクリック数:104K
•ウェブサイトへのトラフィック:53K

そのような結果を得るためのPPM(Pay Per Impression)コストのPPC(Pay Per Click)を考慮すると、従業員アドボカシープログラムのROIを容易に測ることができます。


【まとめ】

今日、ビジネスのやり方は大きく変わりました。 ユビキタスなインターネットのおかげで、誰もがデスクトップPCやモバイルデバイスを使って、ソーシャルメディア上でコミュニケーションをとり、情報をシェアすることが簡単にできるようになりました。 企業が目的や目標を達成するために、ソーシャルメディアの活動に参加して、ソーシャルメディアの力を活用するのは当然のことです。従業員メディアと従業員の声も、含まれている必要があるのです。

従業員の潜在的な可能性をインターネット、特にソーシャルメディアに広げることで、BtoB企業はブランドの会話、リーチの拡大、企業と潜在的な見込み顧客の間のダイナミックな相互作用の促進を本当に信頼できる方法で実現できます。
従業員が小さな職場に閉じ込められ、勤務時間中に外部とのコミュニケーションが禁止されている時代は終わりました。 むしろいまは会社のブランドを代表しながらソーシャルネットワークに参加することが強く求められる時代です。

従業員アドボカシーは、非常に競争の激しいソーシャルメディアやオンラインマーケティングにおいて、企業が注目を集めるのに役立ちます。遠い未来の話ではありません。従業員のアドボカシーはすでに主流になりつつあります。 このマーケティングの革命はすでに起こっているのです。 貴社も進化しませんか?

(記事提供:ニール・シェ―ファーさん 編集:ニシタイ編集部)

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ニール・シェーファーさん



キャリアのスタートは日本のBtoB企業。米国に帰国するまでの15年間、日本でセールス・マーケティングの経験と実績をつむという日本通。2010年に独立して以来、日本企業の英語圏におけるソーシャルメディア活用支援を行い、『Forbes』誌が選ぶ「Top 50 Social Media Power Influencers」にも選出されている。

https://nealschaffer.com/


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